平等原則の下で「固有の保護領域」を設定するのが難しい主な理由
予備受験生の皆さん、3日連続で10時間勉強していますか? 出張車検.comの松山です。
2/10のCBTプレテスト申し込みました。
記事主にとっては、試験会場で論文式を受験することができる最初で最後のチャンスかもしれません。(一次試験の刑法・刑訴のパズル問題を突破するのが難しすぎます)
過去問から出題されるそうですが、当日に向けて、本試験のつもりで公法系科目を中心に論文式の勉強をしているところです。
さて記事タイトルですが、憲法の平等原則における2段階審査とは、①別異取扱い(差別)の有無、②その差別が正当化されるかという2つのステップで、立法などの行為が平等原則に違反しないかを判断する審査手法で、自由権の審査で用いられる「保護領域→制限→正当化」という3段階審査(三段階審査)と区別されます。平等原則では「固有の保護領域」が設定しにくいため、「差別(別異取扱い)の有無」と「その合理性・正当化」に焦点を当てて審査します。
2段階審査の具体的な流れ
- 別異取扱い(差別)の有無の判断:
- 比較対象となる「他人」を想定し、自分(原告)と他人との間に「別異取扱い(差別的な扱い)」が存在するかどうかを判断します。
- この比較対象の設定が重要で、誰と誰を比べるのかを明確にする必要があります。
- 差別の正当化(合理性の審査):
- もし別異取扱い(差別)が認められた場合、その差別が憲法上許されるもの(正当化されるもの)であるかを審査します。
- この正当化の程度は、差別される内容や目的によって「厳格な合理性の基準」や「緩やかな基準」などが使い分けられることもありますが、基本は立法府の裁量(判断の余地)が広く認められる傾向にあります(比例原則の考え方が用いられることもあります)。
3段階審査との違い
- 自由権(例:表現の自由):①保護領域に入るか(保障されるか)→②制約されているか→③制約は正当化されるか、という3段階。
- 平等権:①別異取扱いがあるか→②その差別は正当化されるか、という2段階。
このように、平等原則は「差別があるか」と「その差別が許されるか」という2つの軸で審査されるため、「2段階審査」と呼ばれます。
平等原則の下で「固有の保護領域」を設定するのが難しい主な理由は、平等原則が権利そのものを具体的に創設するものではなく、他の基本権や利益が侵害される際の「手段」として機能することが多いためです。
平等原則(日本国憲法第14条)の性質と、それが「固有の保護領域」の設定を難しくする要因は以下の通りです。
- 原則としての性格(他の権利との関係):
- 平等原則は、人が生まれながらに持つ特定の権利(表現の自由、信教の自由など)を直接保障するものではありません。
- むしろ、「他の基本権を行使したり、法的な利益を享受したりする際に、不合理な差別を受けてはならない」という形で機能します 。
- そのため、平等原則単体で「差別されない権利」という保護領域を定義するのは困難で、常に他の基本権や具体的な利益との関連で問題となります。
- 比較対象の必要性:
- 平等原則は、「絶対的平等」ではなく「相対的平等」を要求します 。
- ある取扱いが平等原則に違反するかどうかは、常に比較対象となる「他の誰か(異なる集団や個人)」の存在と、両者の差異に「合理的な根拠」があるかどうかを比較することで判断されます [1]。
- この判断枠組みは事案ごとに異なり、一律の「保護領域」を設定するのには馴染みません。
- 審査基準の柔軟性:
- 平等原則違反の審査基準は、事案によって異なります(例えば、差別的な取扱いが「合理的」か「不合理」か、あるいはより厳格な審査が必要かなど) 。
- この基準の柔軟性も、「この領域は常に保護される」といった固定的な領域設定を難しくしています。
結論として、平等原則は社会生活のあらゆる場面に適用される普遍的な「原則」であるため、表現の自由や居住移転の自由のように範囲を限定できる「固有の保護領域」を定義することが難しいのです。





